やさしい光につつまれて
子供が産まれてからは、毎日バタバタとして、すっかり忘れてしまっていた名前を、きょうひさしぶりに見つけた。
それは、東野翠れんさんの名前。
雑誌でモデルをされている時は、可愛い子だな、くらいでそんなに気になる存在ではなかった。
彼女が気になる存在になったきっかけは、「縷縷日記」という一冊の本。
市川実和子、eri、東野翠れん、三人の交換日記を本にしたものを手に取りページをめくった時、本当に感動した。
写真やイラスト、詩的なことばたちのコラボレーションは、彼女たちにしか表現できない幻想的で乙女チックでどこかノスタルジックな世界を三人で繋いでいて、すごくすごく可愛らしい本で、今でも宝物。
この本との出会いから、コラージュや写真に興味を持つようになったし、東野翠れんさんの作品に興味を持つきっかけにもなった。
そんな彼女の名前を見つけるきっかけとなったのは、ほんの少し時間が出来たので、何か素敵な展示がやっていないか検索をしていたら、彼女の写真展がやっているという記事にたどりついた。
写真家である彼女の活動は、作品たちのように静かで優しく、ちょっと気をつけていないと気づかないまま通り過ぎてしまうほど、穏やかに活動をしている。
そんな彼女の写真展、きっとこれを逃したら絶対に後悔すると思い、その衝動を胸に急いで電車に飛び乗った。
何度行っても慣れない、人で溢れる原宿はやっぱりたくさんの人たちを魅了し、いまも変わらずに、にぎわっていた。
竹下通りを通り過ぎたちょっと先にあるVACANTは、彼女の作品たちの空気感にぴったりの場所だった。
東野翠れん 写真展
「Pendant 1957-2018」
入場料 500円
彼女の作品のしおり付きなのがまたまた嬉しい^^
オープンとほぼ同時に到着したので、静かな空間の中でじっくりと彼女の写真たちを見つめることができた。
入口にあった、翠れんさんのことば
「過去の痛み、歴史の重み、個人の傷跡ではない写真。ではなにを撮っているのかということを考えると、それは〈ちょっと先の未来におく写真〉ー 平和な世界がどんなところなのか、自分が忘れないためにも、いま目の前に見える一瞬の静けさ、光、その平安な時間を、今日、生きているということを祝福する写真を撮っているのだなと思う」
そのことばを読んでから彼女が撮りためた写真たちに触れ、わたしは涙が溢れてきそうになった。
写真の中におさまった、やさしい光の中の日々は、彼女の作品たちを通して、わたしたちみんな平等に、やさしさ溢れる時間としあわせあふれる瞬間が繋がっているように感じられ、本当に胸がいっぱいになった。
彼女のように、美しい形として残っていない瞬間が世界中に溢れていると思ったら、いまをもっと大切に、そして思い出をもっと大切にしていきたいと思った。
今回の写真展の中で、わたしが一番好きな一枚。
翠れんさんの初写真集。
図書館などで見かけましたらぜひ手にとってみてください^^
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